4月9日~26日まで、町家の公開と合わせて、当店の2階で、能面展を開催しています。
渡り廊下を橋掛りに見立て、障子戸を全部外して、何となくですが・・・空中の能舞台を演出してみました。
一ノ松、二ノ松、三ノ松。実際の能舞台でも、松を順番に小さくして、遠近感を出すのだそうです。
能面、狂言面を合わせて20面ほどを展示しています。
儀式的な芸能の『式三番』で使われる「翁」や「黒色尉」、「小面」「若女」などの女面の他、「烏天狗」や「賢徳」「空吹」「祖父」「鮒」など、インパクトの強い面も。
「鮒」の面です。正面顔がかわいいです。あまり見る機会のない面ですが、調べてみると明治の頃に絶えてしまった鷺流が使用していたとの事。でも、色んな方からお話を伺っていると、どうやらまだ佐渡の方で受け継いでいる方がいらっしゃるようです。今日では演じられなくなってきた、動物の擬人化的演目の古態を垣間見せてくれます。
般若。女性の怒りや嫉妬、悲しみなどを表した鬼女の面です。
向かって右は、母が打ち方を教えていただいた、二條深月先生のもの。左は母が打ったものです。
同じ型を使わせていただいたそうですが、母の般若はなんだか優しい顔…。
他にも何人かお弟子さんがいらっしゃったそうですが、ひとつのものを写していっても、最後は皆さん、それぞれ違う雰囲気になるのだそうです。
よく無表情な人の事を「能面のような…」などと言ったりすることがありますが、特に女面に関しては、実は演じ方によって、微笑んでいるようにも、悲しんでいるようにも見える、様々な表情を秘めた中間の表情なのだという見方をされています。
正面からだけでなく、上下左右から眺めると、表情ががらっと変わります。
ご案内に載せている公開日は26日までですが、5月の連休明けまでは片付けないでおく予定ですので、ご興味のある方、ぜひ一声かけてください。